ことばのリボン「傷だらけの優しさ」

時々、昔の大失敗や後悔を、ふと思い出すことがあります。

時間を巻き戻して違う選択をしたかったこと。

低頭平身で、きちんと謝っておきたかったこと。

恥ずかしがらずに、真っ直ぐな眼差し届けたかった想い。

過去に置いてきた棘(とげ)だらけの荷物は、

時間差で、無造作にドサっと心に放り込まれます。

どうして、あんなことをしてしまったのだろう。

なぜ、ああいう言葉しか浮かばなかったのだろう。

・・・出来ることなら記憶の中から消し去ってしまいたい。

当時は想像だにしなかった結果や苦悩、誰かの涙を

時間をおいて、後悔の念とともに嚙みしめるとき。

自分を守るはずだった棘(とげ)は、

回り回って自分に刺さるものでした。

けれど事実は消し去ることは出来ないし、

過去にさかのぼって、自分を責めることも出来ない。

ただ、そこに「ある」だけです。

いっぱい傷つけた。

同じだけ傷ついた。

だから、その傷や痛みを糧に

前へ進むしかないのだと思います。

自ら掻きむしったり、時に転んで傷だらけになったとしても、

いつかは癒えて、ゆっくりと丈夫になる心とカラダとともに。

今日よりも明日、

優しさを纏(まと)える人になれますように。