

ことばのリボン「記憶の輪郭」
「人は、忘れていく生き物だから」 いつだったか、誰かが不意に 放った一言が、心に残って離れません。 シンプルで、少し冷たくて、きっと現実だから。 悲しくて悲しくて 眠れなかったことも。 悔しくて悔しくて ため息ばかりをついていたことも。 嬉しくて嬉しくて 飛び跳ねたことさえも。 喜怒哀楽という引き出しから、取り出してどこかに 置いてきてしまうことが、度々あります。 記憶の輪郭が、ぼんやりとしてきて 「あぁ、こんな感じだったっけ……」という位に滲んでいきます。 きっとそんな風に、日常は紡がれていくものなんですね。 忘れてしまうのは、仕方がない。 色褪せてしまうのも、自然の成り行き。 人間は、そうやって生きていくものだから。 だからせめて。 自分の都合よく加工してしまった昔の記憶を、 たまに思い出して、確かめるようにしています。 「悲しかったけれど、立ち直れた」と。 「悔しかったけれど、前に進めた」と。 「嬉しかったことを、忘れてはいけない」と。 大好きだった本を、久しぶりに読み返したら、 新たな発見をするように。 溶けだして形がぼんやりとした過去も


ことばのリボンKindle「なくしたもの」
加筆修正して出版した電子書籍より、毎週ご紹介しています。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ここ数日、なくしものが増えています。 その一つが、ピアス。 気付いたら、片耳だけしか付いていませんでした。 正直、さほど思い入れがある訳でもなかったのですが、 いざなくなると、とても悲しい気持ちになりました。 「こんなことだったら、何度も付けておけば良かった」と思ってしまいます。 どんなことでも、モノでも、 なくした時に初めて分かるありがたみ。 丁寧に生きているつもりでも、 どこか惰性的になってしまうことがあります。 こんなに小さなものが、私に訴えてきます。 「大切なものを、ちゃんと大切にしてる?」 「一つだけでは成り立たないものを知ってる?」 前を向いて、明るく進んでいくことは大切。 でも時には、足元に目を向けることも大切。 その場所に存在する、 小さな世界に気付くことも大切です。 軽やかに駆け抜ける時間と、 きちんと立ち止まる時間と。 バランス良く過ごしていきたいですね。 しばらくして、ピアスは見つかりました。


ことばのリボンKindle「めぐりあわせ」
電子書籍化した中からご紹介しています。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 最近、めぐりあわせを感じることが多いです。 「会えたら良いな」と思っていた友人に バッタリ遭遇し、話が出来た。 年賀状のやりとりだけが10年以上続いていた人と、 ある人が引き合わせてくれることになった。 行きたいなぁと思っていた場所に、 仕事やプライベートで行く回数が増えた……などなど。 不思議な「めぐりあわせ」の毎日です。 ゴールや目標へ向かう道は幾つもあって、 選択肢は無限だとしても、自ら選び取ったり、 誰かに選ばされたりして自然と導かれる。 予想外の結果になることだって、もちろんあるけれど 「意外と良かった」なんて思ったりして。 どんなめぐりあわせにも感謝する。 すると様々な出来事が、組み木のように カチャリと合わさるような気がします。 「あぁ、ここに辿(たど)りつくようになっていたのか」と。 日々の小さな出来事が繋(つな)がって 広がって、 その先に「何か」がある。 ワクワクする気持ちを 心に秘めながら、 めぐりあわせに


ことばのリボンKindle 「神様からのプレゼント」
電子書籍化した「ことばのリボン」よりご紹介しています。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ラジオの生放送で、リスナーさんから 「体調が優れず、休職します」というメッセージを頂きました。 こんな時、いつも思うことがあります。 「これは神様からのプレゼント」だと。 病気の時。 苦しい時。 しんどい時。 神様が「休んでも良いのだよ」と 言ってくれているのだと信じています。 しっかりと身体を休めて、 次に踏み出すための 大事な時間を与えてもらっているのだと。 誰かの代わりに、仕事をお願いされた時も同じです。 「これは、今のあなたに必要な仕事だよ」と、 神様に言われていると思って取り組んでいます。 そうやって与えられた仕事は、 有意義で楽しいものばかりです。 必ず、意味がある。 だから、ちゃんと休む。 だから、一生懸命に仕事をする。 そう思っていると、 物事の見方も変わってくる気がします。 支えられて仕事が出来ていることに気付いたり、 仕事のスタイルは人それぞれ違うことを知ったり、 新しい出会いを経験して、 次へ